秘境駅'10 #3
前回の続き。
誰も知らない秘密の場所でのんびり過ごすのもいい。
しかし『秘境駅』と銘打つからには、ちとアドベンチャーな要素も必要なのだ。
3日目の朝、ここを発つ事を決めパッキング開始。
平和な日々を過ごした仲間達に別れを告げ、一人また歩き始めるのだ。
新緑の匂いプンプンの山道をテクテク歩くとダム発見。
降りて間近で見てみる。
この圧倒的な巨大さとエネルギーを目の当たりにし、しばし見とれるので
ございます。
いやいやこうしてはおれんのだ。先を目指すのだ。
で、またテクテク歩き出す。
このダムができる以前は、この水面の下にも集落がありそこで人が営んでいた。
ウワサではこの辺りにはその当時運行されていた鉄道の廃線が今なおあるというのだ。
おぉ、これだ。ついに発見したぞ。
軌道こそないものの、これはまさしく当時の鉄道のトンネル。
バックリと開いたその口からは、ヒンヤリとした異世界からの風が吹いてきている。
ザックの天蓋からヘッデンを取り出し装備。脳内ipodからは水曜スペシャルのテーマがエンドレスリピートなのだ。
意を決して中へ入る。この廃線トンネルの中に何が待ち受けているのか?この漆黒の闇のその先に広がる世界とは一体・・・・・
ヘッデンは装備しているものの、周囲を照らすというよりも自分の足元を照らし転倒を防ぐというもの。
視線の先は黒一色である。
あとは自分の聴覚に頼るのみなのだ。だが聞こえるのは自分の足音と時折上から落ちる水滴が床
をたたく音だけ。あとは無。
漆黒の闇の中をどれくらい歩いただろうか。引き返そうとしても永遠に闇だったら・・・と考えるとあとは進むしかないので、進む。
すると突然生暖かい風が吹き抜けるとともに、今まで黒一色だった視覚が色を認識した。
おぉ!出口じゃ!
いや待てよ、トンネル的には出口かもしれないが、もしかしたら異世界の、異次元空間への入り口なのかも知れない。ウヒョ。
ついに闇から脱出。
うっわ!まぶし!そして周囲を見渡す。あった、あったぞ!今回のテーマが。
秘境駅というより、遺跡。
おぉすげぇ!タイムスリップのトンネルじゃんかよ。
この空間は、一体何年前から時計の針が止まっているのか。
今、何年?つーか、ここどこ?ケータイがものすごい勢いで圏外だ。
つづく
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